【 第57話を | 2016.2.26 】
屋内リンクには屋内用ウィールを
以前は外で滑るのが当たり前だったインラインスケート。
でも近頃は、東京ドームのローラースケートアリーナやROUND1、あるいは体育館を借りるなど、いろいろな屋内で滑ることができるようになってきた。ただ、屋内で滑走する路面は、屋外のアスファルトと違ってかなりツルツルであることが多く、ウィールを倒すと横滑りしやすいはず。
そういった所で年に1回程度、軽く滑るくらいなら、いつも屋外で滑っているウィールを濡れた布で拭いてから使うだけでも、特に問題ないと思う。しかし、ある程度定期的に屋内リンクで滑るのが分かっているのなら、グリップ力が全然違うので、ぜひ屋内用のウィールを使用して欲しいと思うのだ。
屋内用ウィールと言っても大まかに2種類ある。
ひとつはスピードスケート用の、もうひとつはホッケー用のインドアウィール。
それぞれの競技に特化するのでなければ、基本的にはどちらを使用してもOK。ただサイズ(直径)が大きく異なり、ホッケー用は68〜80mm、スピード用は84〜110mmが主なサイズとなっているはず。そこで自分が普段使っているウィールやフレームを確認して、サイズが合うウィールを選択すると良いでしょう。
また同じ用途の同じサイズのウィールでも、ものによっては値段が2〜3倍も開いていることがある。
その理由は、ひと言で言うと、品質の差。ウィール自体の軽さや耐久性を求めつつ、グリップ力と硬さを両立させようとすると、どうしても製造が難しくなるからだ。
グリップ力を上げるには、ウィールのウレタンを柔らかくして扁平率を上げ、抵抗が増すようにすれば良い。一方、スピードが乗りやすくするためには、ウレタンが扁平しないように硬くして接地面積を減らすようにする。
自転車のタイヤの空気が抜けているものと、しっかり入っているものの乗り心地を思い出してもらうと分かりやすいと思う。空気が抜けて柔らかいとグリップするけれどスピードが出ないし、空気がいっぱいで硬いとスピードは出るけれど横滑りしやすくなる。
この難題を解決するために、各ウィールメーカーがウレタンの配合やコアの開発などにしのぎを削っている。さらにスピード用だと、ウィールの径が大きくなるから、コアの軽量化と耐久性の両立も課題になってくる。そうすると、最新の高性能なウィールはどうしても高価になる。スピードスケート用のものだと、1個3000円を超えるものもある。4個ではなく、1個の値段だ。それを8個入れようとすると、ちょっとしたブーツが1足買えてしまう値段になる!(笑
もちろん、こんな最高品質のインドアウィールを買う必要はなく、初めは最も安い1個1000円以下のもので十分。それでも普通の屋外用ウィールとのグリップ感の違いに驚くはず。かなりウィールを倒し込んでも、すっぽ抜ける感覚がないことにすぐに気づくだろう。当然これは新品時だけでなく、ひと皮剥けた後も続く。
そしてしばらく使い込んで、インドアウィールに対して欲が出てきたら、それを叶えてくれる少し高価で高品質なウィールに買い替えると良いと思う。
ちなみに僕は、東京ドームのアリーナではホッケー用のLabedaの『Addiction』という、二層構造のインドアウィールを使用中。基本的には硬いのでスピードが乗りやすいけれど、力を加えると中の柔らかいウレタンが扁平してグリップ感が増すという優れもの。なかなか調子が良くてオススメですが、少々値段がお高めです。(笑
ここまでインドアウィールの良さを語ってきたものの、実はこういったインドアウィールを販売しているショップは意外と少なかったりする。
そこで僕自身は品揃えが豊富なホッケー専門店に行って購入することが多い。
例えば東京なら、高田馬場にある『メジャースケート』。ここには、アイスホッケーだけでなくインラインホッケーに関するマニアックな知識も持つ吉田さんという店員さんがいて、かなり頼りになる。もちろん僕が使っているLabedaのAddictionも取り扱っている。また今、僕が東京ドームのローラスケートアリーナで使っている絶好調なReebokのブーツ、このフレーム交換をしてもらったのも、ここの吉田さんだ。
68〜80mmのインドアウィールを探している東京近郊の在住の人は、このメジャースケートに足を運んでみてはどうでしょうか?
最後にインドアウィールを使用する際の注意点を。
ローラースケート専用リンクで滑る場合は問題ないけれど、イベント会場や体育館など、床にウィールの痕跡が少しでも残るのを嫌う施設で滑走する際に、インドアウィールを使用禁止していることがある。グリップ力の高い柔らかめのウィールで滑ると、踏ん張った時などにウィール痕が付きやすいためだ。そのため専用リンク以外の屋内で滑る時は、事前に使用可能ウィールの種類や硬度を確認して欲しい。
当然のことだけれど、インラインスケートはウィールにしっかり体重を預けられないと、きちんと滑ることはできない。少し上達してインエッジとアウトエッジの使い分けができるようになってからは、自分の思った通りにエッジを傾けて荷重できないと、気持ち良く滑ることができなくなる。それなのにグリップしないウィールで滑り続けることは、ストレスでしかないはず。
ツルツル路面でもすっぽ抜けないインドアウィールを入手して、快適な屋内リンクでのスケートを楽しんでください!
《高田健一》