column
コンシエルジュの閑話休題

【 第5話 | 2014.7.17 】

Sebaは『1足目』を履きつぶしてから《1》

この春にインラインスケート始めてスラロームにハマってきた人が、そろそろスラローム用ブーツが欲しくなってくる頃なのではないだろうか?『梅雨が開けたら、Seba Highを買いに行こうかな』と思ってたりとか。

でも、当たり前のことだけれど、Sebaじゃないとスラロームができないなんてことはない。

Seba登場以前は、みんな自分のスタイルに合うブーツを探して使っていた。例えば2000年代前半だと、SalomonのCrossmaxシリーズやSTシリーズ、個人的にはロッカリング可能な初代Speedsterも使いやすかった。Rollerblade(旧Tecnica)のTwister派も多かったし、同じくRollerbladeのHydrusなどの3点バックル式ブーツも使われていて、K2のVelocityも人気があった。その他、ヨーロッパではホッケーブーツを使用している人たちもいた。どのブーツも一長一短があったけれど、各々がスタイルや好みに応じていろいろなブーツでスラロームを楽しんでいたし、履いているブーツを見ただけで誰に憧れているのかも分かったりした。

そして、その時代の人たちの滑りが下手だったかというと、決してそのようなことはなかった。もちろん今の方が技数は断然多いけれど、今のベースとなるいろんな技が生み出されてされていった時期でもあり、また自分のスタイルにこだわった滑りをしていた人が今より断然多かったように思う。何にせよ、Sebaを履いたからといって、その頃のスケーターより上手く滑れる保証はない。

そのような訳で、いくらSebaがスラローム用ブーツとして売られているからって、Sebaを履かないとスラロームができない訳ではない。それどころか、初心者にとって、Sebaよりも1万円台のフィットネスブーツで練習した方がスラロームがしやすかったり、上達が早いことだってある。

それはどういうことかと言うと、ファーストブーツ用して販売されているフィットネスブーツは、だいたいフレームが長めで軽い。つまり、安定性があって、取り回しやすいのだ。

フレームが長ければ長いほど、前や後ろに体重が掛かっても転びにくい。インラインを始めて間もない頃は、微妙な重心位置をコントロールは難しいはずなので、前向きで滑る場合はかかと側のウィール(4輪目)に、後ろ向きの場合はつま先側のウィール(1輪目)にガッツリ乗ってしまうことも多い。そんな時は長めのフレームがバランスを取るのを助けてくれたり、転倒を防いでくれたりする。ワンフット系、特にバックワンフットを練習する時は『あって良かった長めフレームの1輪目(ホッ』となるはずである。

最近のフィットネスブーツはフレームが長くなったと同時に、車高も高くなって90mm以上の大口径のウィールが入っていたりする。もし車高が高くて安定感が欠けると感じるのであれば、ウィールを70mm台のものに交換すると、ブーツの重心が少し低くなって安定感が少し増すと思うので、試してみるといいかもしれない。

また、小回りを利かせたくなったら、1輪目と4輪目のウィールを2・3輪目のものより2〜4mm小さいウィールを入れて、足回りをロッカリングのセッティングにすると旋回性が格段に上がる。ある程度滑り込んだ後なら、ロッカリングするために新品のウィールを買わなくても、すり減ったウィールの中で小さくなったものを1・4輪目に入れるだけでも、その効果を体感できるはずである。

Sebaのブーツはソール部分が頑強に作られているので意外と重い。そのため、始めは軽量なフィットネスブーツの方が足が疲れにくく、取り回しも楽なはず。ブーツを履くことに慣れてきて、足に必要な筋肉が付いてくれば、多少ブーツが重くても大丈夫になってくるだろう。それでも、ブーツに軽さを求める上級者がたくさんいるのだから、初心者はなおさら軽い方がいいに決まっている。

もちろん管理人も、軽量ブーツ&軽量フレームの組み合わせで足への負担を軽くしている。ブーツが軽いと、本当に楽なのだ。

話はこれだけではないので、第6話に続きます!

《高田健一》

ライター